メールマガジン Vol.200(2025/12/18発行)

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一般財団法人ダイバーシティ研究所 メールマガジン
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Vol.200 (2025年12月18日発行)

壁は壊れたはずなのに

 先日、関経連の主催で開催された第4回D&Iフォーラムにて、パネルディスカッションのファシリテーターを務めました。第1回から続けて担当させていただいているのですが、企業の実践事例や会員企業アンケート結果から、D&Iの取り組みが進展している様子が窺えました。女性活躍や男性育休の促進については、従業員規模が一定以上の企業ではおおむね制度の整備や取り組みの着手はできているように思います。これまであったさまざまな壁は取り払われつつある、という状況でしょうか。

 一方、制度はあっても活用が進んでいない、組織全体としての機運の醸成はこれから、といった企業も少なくないようでした。男性育休も女性と比べると期間が短い、従業員に占める女性の割合は増えているのに管理職に占める割合が伸びないといった課題があるようです。壁は壊れたはずなのに、人々の意識が以前のままの場所に留まって動かないままのようです。

 私は、職場のダイバーシティ推進は、地方の中小企業にこそ先進事例があると以前から主張してきました。地方の中小企業での人材不足は深刻で、多様な人材を採用し、定着のための工夫をしないと職場の維持が困難です。年齢や性別、障害のあるなしや国籍に関係なく多様な人を採用し、ライフステージに合わせて働き方を変えられるよう多様に休暇制度や就業規則を整えている事例は、地方の中小企業にたくさんみられます。

 こうした地方の中小企業で社長さんたちは異口同音に「ダイバーシティという言葉は知らない」「とにかく人を大切にしてきただけだ」とおっしゃいます。KPIを設定して体系的・計画的にダイバーシティを推進することも大切ですが、いまいる人と向き合って、その職場に最適な働き方を考えて行動に移していくことも大切です。大企業のダイバーシティ担当の方にはぜひ、地方の中小企業の事例にも目を向けてほしいです。

 また地方の中小企業で社長さんたちには、様々なポジションにいる社員が部署を越え、時には取引先や異業種の社員とも交流しながら、組織全体にダイバーシティを浸透させていく大企業のプロセスから、今後の取り組みへのヒントを得ることをお薦めします。「うちは中小企業だから」「うちは規模が大きいから」といった壁も取り払って、人の多様性が活かせる職場のあり方をみんなで探っていけるような社会でありたいものです。

 2025年もたいへんお世話になりました。2026年が私たちの社会にある「壁」をひとつでも多く取り除ける1年になることを祈っています。どうぞよいお年をお迎えくださいませ。

ダイバーシティ研究所 代表理事
田村太郎

*過去の関経連D&Iフォーラムの様子は下記からご覧いただけます。

【田村登壇のイベント1 2026年1月10日 愛知県豊田市】

その時誰が取り残される?~災害時に問われる多様性と共生~ 
災害時にどのような視点や配慮をもって助け合うべきかを参加者が考える機会とする講演会が開催されます。市内在住・在勤の人200人が対象で無料ですがHPまたは電話で事前申込が必要です。

【田村登壇のイベント2 2026年1月15日 大阪市】

大阪市企業人権協議会「令和7年度「第4回労務・人権啓発講座」
管理責任を求められる労務・人事担当の管理職等を対象に、職場における人権課題及び労務に関する人権課題について、その現状や対応策・防止施策等に関する専門的な知識を習得することを目的として開催されます。大阪市内の事業所にお勤めの方が対象で無料ですがHPから事前申込が必要です。

詳細・お申込み: https://www.oc-jinken.org/news/16624

【お知らせ1 】

多文化共生の担い手・実践者全国会議2025の報告書を公開しました
7月28日、29日にJICA地球ひろばで開催された「多文化共生の担い手・実践者全国会議2025」の開催報告を掲載しました。分科会ごとのアーカイブも見ることができます。



【お知らせ2】

日本貿易会月報オンライン」No.831 に田村が寄稿しました
日本貿易会が発行する「日本貿易会月報オンライン」最新号(2025年11・12月号No.831)の特集「外国人材とともに働く」に田村が執筆した「ダイバーシティ&インクルージョンと外国人―持続可能で活力ある組織づくりの視点から―」掲載されました。ぜひご笑覧ください。


【お知らせ3】

年末年始の事務所休業
2025年12月27日(土)から2026年1月4日(日)まで事務所を休業とさせていただきます。

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