メールマガジン Vol.195(2025/6/20発行)

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一般財団法人ダイバーシティ研究所 メールマガジン
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Vol.195 (2025年6月20日発行)

寛容と不寛容のはざまで

 世界のあちこちで分断と憎悪が広がっています。誰もが疑心暗鬼になり、他者を排除しようとしているように感じます。なぜこんなことになってしまったのか、残念でなりません。毎朝、ニュースを見るのが嫌になります。そんななか、ドイツで長く首相を務めたメルケルさんの来日のニュースは、少し心が緩みました。

 1989年のベルリンの壁崩壊は、私にとっても大きな衝撃でした。当時高校3年生だった私は大学受験をやめて、高校卒業後働いてお金をため、陸路でベルリンを目指しました。東西ドイツが統合した初めての年越しを、私はブランデンブルグ門の下で迎えました。世界中から「Love & Peace」な若者がベルリンに集まり、大騒ぎでした。

 私が滞在していたのはベルリンの「クロイツベルグ」という、旧西ベルリンの外れにあるトルコ人街の古アパートでした。いまでいう「民泊」のようなしくみがすでにあり、クリスマス休暇で西ドイツに帰省する学生のアパートを又借りしていました。ときどき家主(彼も借家人でしょうが)が帰ってきて、これからの世界について議論しました。「ベルリンは第二のニューヨークになる。ヨーロッパの自由の象徴だ」と目を輝かせて語っていたのを覚えています。

 旧東ドイツ出身のメルケルさんが、首相在任中に中東や東欧からの移民に寛容であり続けたのは有名な話です。ですがドイツでも他の欧州諸国でも、残念ながら日本でも、移民排斥を訴える政党が支持を伸ばしています。世界はまた、不寛容な方へ振れてしまっているように見えます。トランプ大統領のふるまいはその最たるものでしょう。

 ただ、歴史をさかのぼって見てみますと、世界は常に、寛容と不寛容のはざまを振り子のように行ったり来たりするもののように思います。不寛容な地域から逃れて寛容な地域に人が集まれば、そこに新たなルールを作る必要が生じ、新たな不寛容が始まります。季節がめぐるように、寛容と不寛容は交互にやってきます。私たちに求められているのは、この振れ幅をできるだけ小さくしていくための工夫ではないでしょうか。

 ベルリンで語り合った青年も私も、いまやすっかりおじさんになりました。「外国人に国を乗っ取られたらどうなるのか」といったありもしない極論に、付き合う時間はありません。「寛容」は難しく、神学論になりやすいものです。ちがいを受け入れ、「不寛容でない」社会を目指すための具体的な方法について、ちがいを超えて対話を重ね、平和を構築するために時間を使いたいと願っています。

ダイバーシティ研究所 代表理事
田村太郎


【お知らせ1 多⽂化共⽣の担い⼿・ 実践者全国会議2025】

コロナ禍を経て国際協力分野で活動するNGOのなかで国内の外国人支援に活動を 拡げる団体が増えたことや、多文化共生分野で活動する団体から政府や関係団体との連携・協働を求める声が高まったことをうけ、国際協力分野で外務省やJICA との対話の経験があるJANIC(国際協力NGOセンター)のなかに「多文化共生ワ ーキンググループ」を新たに設置しました(2023年11月)。

同ワーキンググル ープでの議論や、関係省庁・政府系団体との意見交換を踏まえ、これからの多文化共生社会の形成に向けて、非営利・民間の立場からNGO・NPOの強みを活かし、また政府や自治体・関係機関と連携しながら多文化共生社会を形成することを目的として、実践者のための全国会議を開催します。
⽇ 程:2025年 7⽉ 28⽇〜 29日
会 場:オンライン配信
対 象:
   1.多文化共生分野で活躍したい地域の担い手
        (NPO、学生、社会人、自治体・国流職員)  
 2.多文化共生分野で担い手を受け入れたい組織(自治体、企業、商工会議所、NPO)
 3.海外派遣を含む担い手育成スキームを持つ組織(JICA、JF、CLAIR、かめのり)
 4.外国人受入れに関連する政府省庁の担当者
定 員:200名(先着順・お申し込み頂いた方にZOOMのURLをお送りします)

【お知らせ2  講演・研修等のご依頼方法が変わりました】

この度、弊所への講演・研修等のご依頼をいただく際の方法が変更となりました。
<ご依頼から実施までの流れ>
1)弊所HP内の「ご依頼・お問い合わせ入力フォーム」に必要事項を入力
2)事務局から返信→詳細確認
3)ご依頼確定
4)事務局から送信される「詳細確認フォーム」に詳細事項を入力
5)実施

<詳細解説>
1)「ご依頼・お問い合わせ入力フォーム」に必要事項を入力
 従来、メール・電話・Excel・個人のSNS等様々なルートからご依頼を
 いただいておりましたが今後は1本化します。
 決定しているもの、月日や詳細が未定なもの、実施や見積りのご相談も全て
 「ご依頼・お問い合わせ入力フォーム」からご連絡ください。
2)事務局から返信→詳細確認
3)ご依頼確定
 事務局より入力いただいたメールアドレスに返信します。
 受諾の可否や詳細についてこのタイミングで調整します。
4)事務局から送信される「詳細確認フォーム」に詳細事項を入力
 ご依頼が確定したら、事務局より「詳細確認フォーム」を送信します。
 実施に向けたより詳細な確認事項をお知らせください。

以上が新しいご依頼方法です。今まで代表に個別にご連絡いただいた皆様におかれましても業務円滑化のため、今後はHPよりご依頼をお願いいたします。詳細や、よくあるご質問は下記Webページからご確認ください。

講演・研修等のご依頼について – ダイバーシティ研究所 

【田村登壇のイベント1 2025年6月29日 Zoomウェビナー

2025年度 国際交流基金(JF)地球市民賞 オンライン公開シンポジウム
これからの多文化共生社会における「いのち」の支え方
これからの多文化共生社会における「いのち」の支え方に注目。多様化する外国人住民の重要な課題のひとつである「医療・健康」分野に着目し、過去の受賞団体のグッド・プラクティスや取り組みから見えてきた課題、今後の可能性について議論します。地域の他団体や住民、関係機関とのネットワーキングや情報発信、組織運営に定評のある受賞団体の事例から、外国人住民の「いのち」の支え方を学び、全国各地で活動を展開する地域の国際文化交流団体の今後の活動のあり方をみなさまとともに考えます。

日時:2025年6月29日(日)
場所:Zoomウェビナー
対象:ダイバーシティの推進に携わる自治体職員等
詳細:https://www.jpf.go.jp/j/about/citizen/followup/2025.html


【田村登壇のイベント1 2025年7月5日 京都府八幡市】

多文化共生講座 第1回 
多文化共生の「これまで」と「これから」~外国人住民とともにつくる地域の未来~
外国人住民の増加に伴い、様々な文化背景を持つ人々が共に暮らす地域づくりがますます重要になってきています。本講座は、多文化共生への理解を深め市町村や関係機関、地域住民同士の連携を深め、情報交換や協力体制のネットワーク構築に繋げることを目的としています。

日時:2025年7月5日(土)
場所:八幡市立生涯学習センターふれあいホール
対象:地域住民、行政職員、事業所従業員、多文化共生に関心のある方

【田村登壇のイベント3 2025年7月13日 神戸市長田区】

2025年度KICC多文化共生セミナー
多文化共生のこれまでとこれから
私たちが暮らす神戸には約140を超える国や地域から6万人以上の外国の方が暮らしています。みなさんも実感するようになってきたのではないでしょうか?
「よく見かける人はどこの国の人かなぁ」「挨拶してみようかなぁ」など思いながら、どうつながりを作ればいいのか難しいですね。多くの文化が混ざって暮らす地域を「強み」にするため、一緒に考えませんか?
日時:2025年7月13日(日)
場所:神戸国際コミュニティセンター
対象:どなたでも

【田村掲載記事】

1. 復興庁オーラルヒストリー
東日本大震災からの復興政策に携わった閣僚や省庁幹部等に対してインタビューを行い、当時の意思決定の過程や復興政策の課題・評価等をオーラルヒストリーとして記録する復興庁の「オーラルヒストリー」のウエブサイトに田村のインタビューが掲載されました。
 https://www.reconstruction.go.jp/311kyoukun/oral-history/
2.多文化ケア.jp インタビュー
トヨタ財団2024年度特定課題「外国人の受け入れと日本社会」に採択された「高度外国人材とその家族の安心・安全な暮らしを支えるために‐保健医療職の意識変容を促す記事発信と調査に基づく教材開発」プロジェクトチームのウエブサイトに、田村のインタビュー記事が掲載されました。
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