季節はめぐる
先週、全国各地で多文化共生の実践を行うNGOなどの関係者が集う「多文化共生の担い手・実践者全国会議2026」が、オンラインと会場とのハイブリッドで開催されました。昨年に続いての開催で、300名を超える参加者が各地の実践やそこから見えてくる課題、今後の可能性について議論しました。今年の開催要項や昨年の報告は下記をご参照ください。
「多文化共生の担い手・実践者全国会議2026」開催要項
https://www.janic.org/blog/2026/07/28/janic
昨年の報告
https://diversityjapan.jp/tabunka-forum2025-report/
会議では、5つの分科会に分かれてテーマごとに実践事例の報告と、共生社会への取り組みを定着させる視点から論点を整理するディスカッションを行いました。全体会では分科会の報告を受け、関係する省庁の担当者からコメントをいただくクロージングセッションがあり、私がコーディネーターを担当しました。ちょうど来年度の概算要求の時期とも重なって、各省庁のコメントでは外国人との共生に関連した施策が今後も拡充されていく様子が窺えました。会場の雰囲気からは、この国で排外主義が高まっているとは思えず、これからも多文化共生に向けた地域での取り組みは前進していくと感じました。
今年1月に政府が発表した「外国人の受け入れ・秩序ある共生のための総合的対応策」では、「一部の外国人による行為について、国民が感じている不安や不公平感に対処する必要がある」という基本的な考え方が示され、在留許可制度の見直しや手数料の値上げなど、外国人に厳しい政策が目立つようになりました。しかし、政府は地域での日本語教育や相談窓口への支援、生活オリエンテーションの拡充など、従来の共生施策は堅持しています。自治体が展開する多文化共生施策に対して、パブリックコメントや意見募集の窓口に反対の声が寄せられている、政府も排外主義に舵を切ったように見える、という理由で、これまで築き上げてきた多文化共生への道をあきらめるようなことがあってはなりません。むしろ「一部の日本人の行為について、外国人が感じている不安や不公平感に対処する必要」があるのではないでしょうか。
外国人に対する世論が厳しくなったと感じるのは、私は今回が初めてではありません。景気の後退局面で、繰り返し起きている出来事です。実践者全国会議のクロージングで私はそのことに触れ、季節がめぐるようにまた冬の時代が来たと述べました。でも、そのような目線で風景を眺めているだけではいけないと、自分の発言を反省しました。在留資格の更新や進学、就職などのタイミングがたまたま冬の時代に重なった人たちにとっては、たまったものではありません。逆風のなかでも何とか工夫して帆を立て、目の前にある機会を最大限に活かしながら、少しでも早く春が戻ってくるよう精進したいと思い直しました。
ダイバーシティ研究所 代表理事
田村太郎