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一般財団法人ダイバーシティ研究所 メールマガジン
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Vol.196 (2025年8月8日発行) |
「わからない」が増幅させる不安
先の参院選ではにわかに「外国人問題」が争点に浮上し、あたかも外国人の存在自体に問題があるような主張も展開されました。事実とは異なる情報で不安を煽る行為は断じて許されるものではありません。一方で急増する外国人に戸惑いを覚える人が少なからずいることも事実であり、「排外主義はけしからん」と良心に訴えるだけでは人々の不安の解消にはつながらないこともわかりました。人はなぜ誤った情報に操られ、社会を彼我に分けて他者を排除する行動を取ってしまのでしょうか。
横浜市が関東大震災から3年後にまとめた震災誌には、震災当時市長だった渡邉勝三郎の次のような回想が書かれています。「鮮人襲来のごとき荒唐無稽なる流言蜚語が行われたのは、予が平塚を出発した当時からであった。予はそれを聞いたとき、淳厚単純なる地方民が徒らに宣伝から宣伝を生んだ虚構の説であるを感じ、知的洗練を経た都市人の一笑に黙殺し去ったものであろうと思っていた。勿論横濱市が此の不詳なる蜚語の源泉であろうとは感ぜず、又之が為に全市が地震以上の無秩序と混乱におかれていようとは夢想だにしなかった」* 関東大震災が発生したとき渡邉市長は避暑先の平塚におり、翌日に横浜へ戻る車の中で朝鮮人に対する流言により市が混乱に陥っていることを知りました。市長も夢想だにしなかった無秩序と混乱が起きてしまったのはなぜでしょうか。 震災当時の日本は第一次大戦の活況から一転して不況に陥り、シベリア出兵の失敗や朝鮮・台湾で独立運動が活発化するなど、内憂外患の状態でした。1910年の日韓併合を経て日本で暮らす朝鮮人は漸増していましたが、1920年にはまだ全国で4万人でした。しかし1922年12月に日本への渡航に必要だった旅行証明書が廃止され、1923年には13万人に急増しました。旅行証明書は当初は独立運動を扇動する者への取り締まり策として導入されたものでしたが、差別の撤廃と人権擁護の視点から廃止されました。 低迷する景気と社会不安に日本へ渡航する朝鮮人の急増が重なったタイミングで関東大震災が起きてしまいました。朝鮮人などへの殺傷は一部の排外主義者の手によって行われたのではなく、震災前からあった不安に煽られた市民の手によって起きたものです。外国人の急増と景気の低迷、そして排外主義を扇動する勢力が民意を得たと主張する今日、「あれは100年前の出来事であっていまは大丈夫」と言える自信は、私にはありません。 まもなく9月1日がやってきます。状況の急激な変化や「よくわからない」ことに、人々は漠然とした不安を覚えます。「わからない」への不安は、排外主義に利用されます。ふだんから異なる他者との顔の見える関係を構築して「わからない」をなくし、不安の増幅を抑える取り組みを急ぎたいところです。 *横浜市市史編纂係『横浜市震災誌 第1冊』(1926)横浜市のP67-68から、原文のまま記載しました。 ダイバーシティ研究所 代表理事 田村太郎
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【田村登壇のイベント1 2025年9月5日 オンライン 他】
持続可能な地域づくりをめざす担い⼿育成のための「かめのり多⽂化共⽣塾2025」
-多⽂化共⽣地域ネットワーク⽀援事業-
外国⼈受⼊れの流れはさらに加速しており、また家族の帯同や在留の⻑期化に伴う課題の多様化、外国⼈の居住する地域の拡⼤も進んでいます。本年度の「かめのり多⽂化共⽣塾」はそうした背景を鑑み、外国にルーツのある⼈が担い⼿として参画する取り組みに焦点をあて、課題分析や企画⽴案に必要なスキルを集中的に学ぶことで地域の担い⼿の質と量の拡充をめざすとともに、他地域の担い⼿との相互研鑽とネットワーク形成を⽬的とした研修を、全国3カ所で2⽇間にわたって実施します。
⽇程・会場:【オンライン研修】2025年9月5日(金)10:00〜16:00
【対面研修】
東北会場:2025年9⽉29⽇(月)〜30⽇(火)仙台市市民活動サポートセンター(仙台)
中部会場:2025年11⽉13⽇(木)〜14⽇(金)環境技術移転センター(四日市)
九州会場:2025年12⽉ 8⽇(月)〜 9⽇(火)JICA九州(福岡)
対 象:多⽂化共⽣分野で来年度に具体的に取り組みを実施する予定の団体・個人
定 員:各20⼈(団体からの参加は1団体2名まで可、応募者が多数の場合は抽選)
詳細・お申込み: https://diversityjapan.jp/kamenorijuku2025/ *応募締め切りを8月18日(月)正午まで延長しました |
【田村登壇のイベント2 2025年8月16日 三重県津市】
日本人のボリビア移住125周年記念】 誰もが輝ける未来のために
~移住の歴史を振り返り、在日外国人の“今”と“未来”について考える~
このイベントでは、在日ボリビア人の若者の生の声をまとめたドキュメンタリーを鑑賞し、在日ボリビア人をはじめとした在日外国人の若者の現状を知り、多文化共生社会の構築について考える場にしたいと思っています。みんなで一緒に考え、より良い未来を築くための一歩を踏み出しましょう!
日時:2025 年8月16 日(土)13時00分~16時30分
場所:アスト津 4階 アストホール (三重県津市羽所町700) 主催:特定非営利活動法人日本ボリビア人協会 |
【お知らせ1 2025年度地球市民賞 オンライン公開シンポジウム】
「これからの多文化共生社会における『いのち』の支え方」をテーマに6月29日に開催されたオンライン公開シンポジウムの様子が国際交流基金の公式YopuTubeチャンネルで公開されました。
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【お知らせ2 第19回かめのり賞(応募締め切り9月3日)】
日本とアジア・オセアニアの若い世代を中心とした相互理解・相互交流の促進や人材育成に草の根で貢献し、今後の活動が期待される個人または団体を顕彰します。
かめのり大賞: 「草の根部門」「人材育成部門」の部門毎に、正賞として記念の楯および副賞として100万円の活動奨励金を贈呈
かめのりさきがけ賞:正賞として記念の楯および副賞として100万円の活動奨励金を贈呈
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【ダイバーシティ研究所夏期休業のお知らせ】
8月9日(土)から17日(日)まで夏期休暇とさせていただきます。なお、返信にお時間いただく可能性がありますが、メールは受け付けておりますので下記事務局代表アドレスへご連絡ください。 |
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