今回の入管法改正のポイント

在留資格


これまでの「技能実習」では、習得した技能を母国に持ち帰るという国際協力の一環として行われており、育てた人材も手放さなくてはならなず、また、国際社会からは人身売買の温床になっているという指摘もあった。今後は介護業など14の業種で新たに「特定技能」という在留資格につなぐことができる。
留学生は就職する前に在留資格を変更することになるが、日本では入社後に配属を決めることが多く、ここでつまづく場合がある。結果として、「外国人雇用は面倒」と思われることが時々起こってしまう。

外国人支援策の拡充


新たな「外国人材の受け入れ・共生のための総合的対応策」では、「日本語教育」や「相談体制の充実」など、外国人との共生社会の実現に向けた環境整備が盛り込まれた。今後、支援のメニュー
が豊富になるにあたり、日本社会と外国人をつなぐ人材が必要になるが、その一つが留学生である。彼らは十分に即戦力となるし、他の外国人の雇用を進める上で「つなぎ役」となってくれる。

在日・訪日外国人の現状

現在国内にいる約270万人の外国人のうち、約6割が職種制限のない在留資格を持っている。新たに外国人を呼ばなくとも、既にこうした人材が日本に相当数いることに着目してほしい。

ここで我々は、「外国人は安い労働力ではなく、付加価値の高い労働者である」という視点を持つべきである。浜松市長が言う「外国人は問題ではなく、解決策だ」といのはもっともな意見であり、積極的に採用していただきたいと思う。


例えば、訪日外国人に目を向けると、滞在期間が2~3か月間と長期化していたり、体験型プログラムへの消費が増えているなど、状況が変わってきている。彼らが楽しめるプランを日本人だけで考えていても無理があり、外国人が企業の皆さんの近くにいてくれることが力になる。

外国人とともに、開かれた職場や地域をつくる

今、アジア全体で労働力が足りていない。主な送り出し国はフィリピン、ベトナム、インドネシアである。アジア全体の受け入れ態勢の整備について、本来は日本がイニシアチブをとって進めていくのが望ましいが、現状は送り出し国と受け入れ国との間の二国間協定の域を出ていない。その結果、優秀な人材はアジア以外の国を選んでいる。

2~30年前は、日本は魅力ある労働場所であったが、アジア全体の経済成長が進み、日本の惹きつけ要因が減る中で、日本にアジアから「出稼ぎ」には来ない。留学生も、今や貧しいかわいそうな人たちではなく、力強い、みなさんの助けになる人たちである。

こうした視点での受け入れが花開いている事例が国内に様々出ている。外国人に何か売りたいなら、作り手側に外国人がいなければ売れない、という状況になっている。

もうすでに、このまま放置していると、皆さんの職場や地域は崩壊していくと考えている。皆さんの職場や地域を、外国人とともに開いていくのが鍵である。その時、間に入ってくれる人が必要だが、永住者や留学生とともに取組を進めるのがスムースだと思う。こういう流れを作っていこことができれば良いと考えている。