メールマガジン Vol.186(2023/11/14発行)

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一般財団法人ダイバーシティ研究所 メールマガジン
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Vol.186 (2023年11月14日発行)

ダイバーシティのコスト

 先日、ある研修でこんな質問をいただきました。

 「組織の中で多様性に配慮するにはコストがかかる。必要性は理解できるが、だからといってコストを負担するのは悩ましい。ダイバーシティの推進にかかるコストについての理論や研究はないのか」

 同種の質問はこれまでも何度か頂いてきましたが、私としても明確な答えは見つかっていません。その場では、「社会全体で見た場合、排除の方がコストがかかるという研究はある」と返事しましたが、会場全体が納得いかないなあ、という雰囲気でした。

 例えば、日本語がわからない人に通訳や翻訳をするにはやはりコストはかかりますし、職場で誰かが休むことになれば、今いる人の負担を増やすか、誰かちがう人を雇い入れなければならず、そのためのコストはかかります。そのコストは、多様性を推進しようとする組織だけが負担すべきことなのかと言われると、確かに違和感があります。

 あの質問にきちんと答えられなかったことで、私の中でモヤモヤした気持ちが続いています。ダイバーシティ推進の必要性について社会全体としては理解できても、組織としてはやはり目先のコストは抑えたいという気持ちはよくわかります。では、ダイバーシティのコストは誰が負担すべきなのでしょうか。

 私はダイバーシティ推進の必要性について、「持続可能な社会の形成に不可欠である」という理由から解説することが多いです。私たちの持続可能な社会を脅かす2つの脅威は「気候変動」と「人口変動」であり、前者には環境配慮型社会が、後者にはダイバーシティの推進がそれぞれ必要である、という話にはおおむねみなさん納得してくださっているようです。

 考えてみると、環境への取り組みとコストに関する考えの変遷は、ダイバーシティ推進のコストを考える上でヒントになるかもしれません。化石燃料から再生可能エネルギーへの転換はやらねばならない、という社会全体の合意形成がある一方で、目先のコストを考えるとまだEVよりガソリン車か、せいぜいハイブリッドまでしか手を出せないよね、という話は良く耳にします。でも、この10数年で気候変動への対策は多くの組織に浸透し、コストがかかっても廃プラはなくそう、再生可能エネルギーに転換しようという流れができているように思います。

 ダイバーシティの推進もこれからは「持続可能な組織や社会には不可欠なもの」という理解を深め、コストがかかっても取り組むべきことという機運を醸成していくことが、遠回りのようで近道なのかもしれないと、ひとまず私は自分の頭を整理しました。

 ダイバーシティのコストについて、みなさんはどのようにお考えでしょうか?

一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事
田村太郎


【田村登壇のセミナー1  2023年12月1日 オンライン 】

公益財団法人かめのり財団「多文化共生の転換期 連続セミナー2023」
「多文化共生の転換期」をテーマに、12月1日(金)より全4回にわたり、技能実習制度の廃止と特定技能制度の適正化など、転換期を迎える日本の多文化共生について議論します。参加対象者は、外国人支援・多文化共生推進に取り組む、国際交流協会や行政の職員の方、NPOの方々の他、日本国内の国際交流に興味関心のある方です。田村は12月1日の第1回に登壇します。

【会  場】オンライン(Zoom)*アドレスは前日までにお送りします。
【参  加  費】無料

第1回:2023年12月1日(金) 16:00-17:30
テーマ:総論:転換期にある多文化共生のこれまでとこれから
登壇者:田村 太郎 氏  ダイバーシティ研究所 代表理事
    鈴木 江理子 氏 国士舘大学 文学部 教授
締 切:11月29日まで



【田村登壇のセミナー2  2023年12月2日 オンライン】

多文化共生の地域づくりセミナー
人口減少と人口構造の変化が加速度的に進んでいる現在、将来にわたって活力ある社会を維持するためには、外国人などの多様な人材が活躍できる社会づくりが求められています。このセミナーでは「なぜ多文化共生社会を構築する必要があるのか」、また「そのために私たちには何ができるか」について、(一財)ダイバーシティ研究所代表理事の田村太郎氏からユーモアを交えた語り口でお話しいただきます。

日時:2023年12月2日(土)14:00~16:00
場所:オンライン(Zoom)
参加費:無料
主催:(公財)山形県国際交流協会

【詳細・申込み】https://www.airyamagata.org/tabunka/


【田村登壇のセミナー3  2023年12月8日 大阪+オンライン】

関西経済連合 第3回関経連D&Iフォーラム

関経連D&Iフォーラムは、「関西ビジョン2030」の中で掲げた「ヒトを惹きつける舞台となる」ことを達成するため、「ダイバーシティ&インクルージョンの先進地化」に向けた取り組みの一環として開催しています。第3回は、留学生を含む高度外国人材に焦点をあてて開催します。田村は第2部パネルディスカッションのファシリテーターとして登壇します。

開催日:12月8日(金) 15時~17時
場 所:QUINTBRIDGE( https://www.quintbridge.jp/ )・オンライン
詳細・申込み


【田村登壇のセミナー4  2023年12月9日 岩国市】

令和5年度多文化共生講座
山口県に暮らす外国人住民の数は1万8千人を超え、地域の国際化が進んでいます。様々な文化や国籍等を持つ人々が互いの違いを尊重しつつ、共に活躍できる「多文化共生」のまちづくりについて、考えてみませんか。

日時:2023年12月9日(土)13:30~15:30(開場13:10~)
場所:岩国市民文化会館 第1研修室(岩国市山手町一丁目15番3号)
対象:多文化共生に関心のある方
定員:30名(先着順)
参加費:無料
主催:(公財)山口県国際交流協会、岩国市

【詳細・申込み】https://yiea.or.jp/news/news_15669/


【お知らせ】

1.チャイケモウォーク2023(11月26日 神戸)
秋の神戸を歩きながら小児がんとたたかう子どもと家族を応援するチャリティウォークです。第1回から田村が実行委員長を務めています。

申込み・詳細:  https://www.kemohouse.jp/2023/09/25/チャイケモウォーク2023/

2.【開催報告】第15回 京都大学公共政策大学院・JIAM連携セミナー
「地域間交流の果たしてきた役割と 多文化共生のこれから」

2023年9月22日に開催したセミナーの動画が公開されています。

講演者・ : 京都大学大学院法学研究科 奈良岡 聰智 教授
パネリスト  一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事 田村 太郎
       公益財団法人箕面市国際交流協会 事務局次長 岩城 あすか
       京都府立大学文学部欧米言語文化学科 山口 エレノア 准教授


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