ダイバーシティ研究所では、「令和6年(2024年)能登半島地震」で大きな被害を受けた石川県輪島市における被災者の生活実態を調査し、今後の被災者支援に役立てることを目的として、被災された世帯の「次の生活への移行」に向けた調査事業を実施しました。
2024年1月より能登半島地震による被災状況について広範囲にリサーチを行うと共に、厚生労働省事業である「被災高齢者等把握事業」が能登5市町で実施されることに伴い、石川県から委託を受けたJVOAD(認定NPO法人 全国災害ボランティア支援団体ネットワーク)の一員として2月から訪問活動の企画立案、活動拠点の運営や整備に携わりました。Yahoo!基金の寄付も受け、4月からは輪島市との業務委託契約に基づいて、市内全世帯を対象に独自のアセスメントシートに基づく調査を実施し、6月末までにすべて世帯の訪問を完了。このうち3,096世帯から有効なアセスメントデータを得ることができました。
当研究所ではアセスメントデータを活用した被災世帯への支援について、輪島市や輪島市社会福祉協議会と連携た取り組みを継続しています。また、2024年8月〜10月の活動および2024年11月〜2025年1月の活動については、Yahoo!基金「2024年度 能登半島地震 復旧・復興支援助成プログラム」の助成を受けて実施しています。
ご参考 Yahoo!基金のウェブサイト https://kikin.yahoo.co.jp/
調査の概要や報告書については下記のとおりです。内容に関する問い合わせは、ダイバーシティ研究所の代表アドレス(office@diversityjapan.jp)までお願いします。
調査の概要
・調査対象 輪島市内の全世帯(10,887世帯、2024/4/1現在)
・調査期間 2024年4月1日〜6月30日
・調査人員 調査員のべ 1,327人
・調査方法
①被災世帯を直接訪問し半構造式面接方式で調査(訪問アセスメント)
②調査対象者本人がPCやスマホ等から直接入力(セルフアセスメント)
・有効回答数 3,096件(①訪問アセスメント:3,039件 ②セルフアセスメント:57件)
調査内容
①調査項目 家屋被害や健康状況に加え、支援履歴や今後の見通しについて総合的に調査
1.世帯情報:住所、世帯構成、要援護情報(介護、障害、子ども、外国人等)
2.家屋情報:家屋種・築年数、被災状況、り災証明、再建の意向
3.避難情報:避難時期、方法、避難先、今後の見通し
4.健康情報:被災前、発災直後、現在、通院・介護ケアの状況、今後の方針
5.生活情報:収入、移動、買い物、通勤・通学、食事
6.支援情報:情報入手方法、支援履歴、相談相手、不安、今後の見通し
②分析項目 上記項目のデータを元に下記を分析
1)単純集計・クロス集計:項目ごとの集計および罹災証明書分類と居住、今後の見通し等とのクロス集計
2)災害ケースマネジメントに基づく4象限分析:調査項目の選択肢を点数化後、「住まい軸」「生活軸」に分類して平面表示し分析
3)地区別分類:地区別に主要な集計結果を比較し、地区特性を分析
調査成果
○行政への調査結果の共有:輪島市地域支え合いセンターの被災者データベースに調査結果を提供し、今後の支援活動や復興計画策定に活用
○能登豪雨(2024年9月)の被災者調査でのデータ活用:上記支え合いセンターで豪雨被災者の状況確認で当調査の重点支援世帯を優先する等活用
調査報告書
輪島市における能登半島地震で被災された世帯の「次の生活への移行」に向けた調査実施報告書: PDF(3.3MB)
上記報告書の資料集: PDF(1.0MB)
【参考】実施済み調査の報告書・投稿論文
ダイバーシティ研究所では以下の災害において避難者生活実態調査を実施しています。
・平成 27 年(2015年)9月関東・東北豪雨での避難者生活実態調査(茨城県常総市)
・熊本地震(2016年)被災者支援活動(熊本県益城町)
・大阪府北部地震(2018年)での在宅避難者生活実態調査(大阪府茨木市)
・西日本豪雨(2018年)での避難者生活実態調査(広島県坂町)
・令和 2 年(2020年) 7 月豪雨での避難者生活実態調査(熊本県八代市・人吉市)
詳細は特集「災害とダイバーシティ」ページを参照
日本災害復興学会論文集第23号掲載の当研究所が実施してきた被災者アセスメントから
得られた知見をまとめた論文
「被災世帯を対象とする支援需要評価に関する研究
〜生活再建への移行期における被災者生活実態調査の実践から〜」
https://f-gakkai.net/research/3344/