私たちは、ダイバーシティを「構成員のひとりひとりが『よりよい明日』をめざして活躍できる地域と組織のありよう」と定義し、「人の多様性に配慮した組織や地域社会づくり」を支援する非営利民間団体です。

ダイバーシティ研究所が考えるダイバーシティ

ライフ・スタイルや社会のニーズが多様化するなか、組織に多様な人材が存在してこそ、本当のニーズにマッチした企業活動やサービスができるのではないでしょうか。たとえば、外国人住民として地域で暮らしていく中で、あるいは子育てや介護を担う経験を経て、さらには、介護される立場を経験して初めて見えてくるものが、今後はますます価値のあるものとなるでしょう。「多様な背景を持つメンバーで構成される組織はしなやかで強い」という考え方に立って、積極的に組織の構成員が多様になるような戦略を持つことが必要となってきます。

一般財団法人ダイバーシティ研究所では、「ダイバーシティ」を雇用機会均等やワーク・ライフ・バランス(仕事と私生活の両立)の取り組みの推進にとどまらない、「しなやかで強い地域や組織づくりの『処方箋』」と考え、そうした地域や組織を実現しようとする人々の力になりたいと考えています。

地域ぐるみのダイバーシティ

どんな組織でも、単独でダイバーシティを推進していくことは簡単なことではありません。例えば、学歴や国籍、障がいの有無にとらわれない採用を増やしていくためには、多様な人材のポテンシャルを見極めたり、募集方法や職場環境の整備、多様な働き方を保障するしくみを整備する必要があります。より具体的には、就労マニュアルの作成や職場環境そのものの改善から始めなければいけない場合もあります。こうした幅広い分野に及ぶダイバーシティの推進は、外部の専門家の力を借りたり、地域全体でしくみを整えていくことで、ようやく実現への道筋が見えてくるものです。

一方、地域には、障がいのある人への就労支援や女性の就労を支援する活動など、就労にハードルのある人をサポートしてきた団体(NPOなど)があります。そうした団体と企業が協働しながら、ひとりひとりの多様性を活かすことができる職場を作っていくことは可能です。

ダイバーシティ研究所では、自治体の役割にも期待しています。自治体は、女性や障がい者雇用の状況を公共事業の入札時に要件に加味する「総合評価入札制度」の導入などの公的な制度づくりや、地域人材のポテンシャルを生かした職場づくりをサポートできるNPOと企業の協働を促すしくみをデザインするなどの取り組みを通して、地域全体のダイバーシティを推進する役割を担うことができます。

ダイバーシティ研究所の取り組み

このような考え方から、私たちダイバーシティ研究所は、企業はもちろん、NPOや自治体も地域でダイバーシティを進める重要な担い手と考えています。また、多様な担い手が連携しながら、地域全体でダイバーシティを推し進める「地域ぐるみ」の取り組みを促すことにも力を注ぎたいと考えています。

その実現のために「誰もが暮らしやすい地域をつくる『地域づくり』」「誰もが働きやすい職場をつくる『組織づくり』」「誰もが活躍できる『社会づくり』」に向けた取り組みを続けています。