資金調達

今回は、資金調達についてお話します。
ソーシャル・ビジネスでは大きく5種類の収入源があります。

調達効率と自由度の観点から資源を選びます。それぞれの度合いは図8-1のとおりで、調達効率が高いほど自由度が低くなります。事業収入だけで事業をしようとすると、課題解決型のビジネスは成立しにくいとい
う特徴があります。受益者以外からもお金をもらう、ということを考える必要があります。

資金調達のポイント
ポイント① 資金調達の成功の秘訣

図8-2は成功の秘訣です。「能力」「動機」「機会」のどれか一つでもゼロだと、全てゼロになってしまいます。

ポイント② 資金提供者は成長する
まずは少額の寄付や商品から始められるよう、価格や商品をデザインします。有名な海外ブランドは、必ずハンドバッグを売っていますが、これがフロント商品です。ここから入ってもらう。

自組織で資金を調達するほか、企業等との協働による事業を計画する(BOP、CRM)ことも有効です。例えば、寄付金付きの商品を売ってもらい、売り上げに応じて資金をもらうなどの手法があります。

ポイント③ 助成金

様々な企業や民間の財団が、テーマごとに助成金を提供しています。助成金の情報はウェブサイトなどでも検索することができます。

ポイント④ クラウドファンディング

「ソーシャルファンディング」とも呼ばれ、ファンによるアーティストの支援、政治資金の調達、ベンチャー企業への出資、映画やフリーソフ
トウェアの開発、個人・事業会社、プロジェクトへの貸し付けなど、幅広い分野への出資に活用されています。

収支計画書の作り方


以上、資金調達のポイントを見てきました。実は、お金を出す人は結構います。しかし、ちゃんと使える人が少ないのが現状なので、是非チャレンジしてほしいと思います。
自分で考えているプランでどのような収入が得られそうかを考えた上で、①財源の種類は適切か、②資金の提供者は適切か、③内容や金額の設定は適切かについて、知り合いに意見を聴くなど、丁寧に考えてみましょう。
さて、中間ふりかえりでは、「収支計画書」をもとに議論をします。自分の事業計画の支出と収入を検討し、次の①から④の手順に沿って作成しましょう。
①まず、支出から計算する

目標とする状態の実現に必要な費用を最大限に見積もりましょう。収入から考えてしまうと、十分な成果が出せない事業になってしまいます。
そして、必要な費用を「費目」ごとに計算しましょう。まず「単価」を調べ、次に「数量」を決めます。収支計画では、合計金額の大小の他、算出根拠が正しと信頼してもら
えることが重要です。算出根拠とは、単価が正しいか、目標達成に充分な数量が書かれているかの2点です。事業の必要性だけ理解して資金を提供してくれる人はいません。きちんとした計画があって、金額の根拠が明確になっていることが大切です。

②支出で計上しておくべき主な費用

事業に必要な費用は、主に設備や備品の購入費等の「初期費用」と、人件費や事務所賃料等の「運転費用」に分かれます。
費目として計上しておくべき主な項目は図8-4のとおりです。事業内容にあわせて必要なものを計上しましょう。
③収入を計算する
ソーシャル・ビジネスの「5つの収入源」から事業の内容にふさわしい収入源を選び、費目ごとにいくらの収入が見込めるかを考えます。
収入も、単価と数量の見通しを記入します。助成金や補助金、業務委託金は、具体的な助成制度や委託事業がある場合にのみ、記入します。