一般財団法人ダイバーシティ研究所 メールマガジン
当研究所の活動や「ダイバーシティ」についての情報をお届けします

Vol.189 (2024年6月5日発行)

ダイバーシティの第3ステージ

  このほど仙台市が設置した「ダイバーシティ推進会議」の委員を仰せつかり、去る6月2日に開催された第1回会議に出席しました。郡和子市長からのキーノートスピーチと事務局による説明ののち、田村から「話題提供」としてダイバーシティの定義や取り組みの課題、自治体に求められる役割についてお話ししました。仙台市ではこの会議での議論を元に、多様性を力に変えることで都市の包摂的な成長(インクルーシブ・グロース)の実現をめざす「ダイバーシティまちづくり」のための指針を策定する予定です。今年度は他の自治体からも同種のご相談を受け、委員やアドバイザーを承りました。こうした状況を見て、私は日本のダイバーシティは「第3ステージ」に入ったと感じています。

 日本におけるダイバーシティ推進は、企業のマネジメント手法として2000年代中頃から注目されるようになりました。ダイバーシティ研究所も2007年に創立し、当初は企業のCSRを通した多様性配慮を中心に活動をスタートしました。この頃の取り組みは、性別や民族、年代など「表層の属性」への配慮に留まっていたように思います。続いて2010年代に入ると女性活躍や多文化共生、LGBTQなど、マイノリティ分野ごとの個別課題への対応が進みます。そのなかで「表層の属性」だけでなく、価値観やキャリア、思想といった「深層の属性」へと対象が拡大していきました。ここまでが第1ステージと第2ステージです。

 そして2020年前後から、マジョリティ側の意識変革や社会全体の機運の醸成による包摂的な取り組みの重要性に再び関心が戻り、企業だけでなく自治体でもダイバーシティを統括する部門を設置したり、指針や計画を策定したりする事例が広がっています。例えば、世田谷区では2018年に「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」を制定し、包括的な施策の推進をめざしています。また関西経済同友会では2022年度に「Diversity&Inclusion委員会」を設置して提言をまとめましたが、提言を実装する翌年の活動では「Diversity, Equity &Inclusion委員会」へ名称を変更し、組織全体、地域全体での意識変革の重要性を指摘しています。

 仙台市での取り組みがこうした第3ステージの動きをリードし、今後に続く自治体に道を切り拓いていくことを期待しています。

仙台市「ダイバーシティ推進会議」
https://www.city.sendai.jp/kikaku-suishin/diversity-meeting.html
世田谷区「多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例」
https://www.city.setagaya.lg.jp/mokuji/kurashi/008/001/d00158583.html
関西経済同友会「ダイバーシティ&インクルージョン委員会」提言
https://www.kansaidoyukai.or.jp/proposal/【提言】diversity-equity-inclusion-社会の実現~誰も(多様な人)/

一般財団法人ダイバーシティ研究所 代表理事
田村太郎


【田村登壇のイベント1  2024年6月16日 大阪】

シンポジウム「日本で暮らす~災害に備えて~」
第1部の基調講演ではダニエル・カールさんをお迎えし、日本で暮らす外国人が日頃災害に備えるために必要なことや外国人住民と地域住民が助け合える関係性作りの大切さなどについて語っていただきます。また、パネルディスカッションでは、外国人住民を加え、日本で暮らすなかでの災害への備えについて、母国との違いやその重要性について議論します。第2部の多文化交流会では、外国人住民を交えて小グループで意見交換を行い、ともに何ができるかを話し合います。

日時:2024年6月16日(日)
   第1部13:00~15:00 基調講演とパネルディスカッション
   第2部15:30~17:00 多文化交流会
場所:大阪国際交流センター 2Fさくら
費用:無料
定員:第1部 200名、第2部 60名
詳細・申込:https://www.ih-osaka.or.jp/2024/05/07/shinnpojiumu/


【田村登壇のイベント2  2024年6月22日 愛知県西尾市 】

西尾市防災カレッジ「避難所の現実」
令和6年度 防災カレッジは「大規模災害にどう備えるか」をテーマに全4回開催します。第1回は「避難所の現実」を田村が語ります。

日時 2024年6月22日(土) 10:00~11:30
場所 西尾市役所 5階 51会議室
参加費/定員 無料 /50名
詳細・申込 https://www.city.nishio.aichi.jp/kurashi/bosai/1008158/1005706.html


【田村登壇のイベント3  6月30日 沖縄県那覇市・Zoomウェビナー】

2024年度 国際交流基金(JF)地球市民賞 公開ラウンドテーブル 
アートからひらくコミュニケーション―地球市民活動の事例から
国際交流基金は地球市民賞の運営を通じて、すぐれた実践事例を紹介してまいりました。本企画では多彩な社会領域をつなぐ「アート」に注目。防災・教育・多文化共生・地域コミュニティをテーマに活動する実践者(本賞受賞者)を迎え、地球市民活動のコミュニケーションについて参加者とともに考えます。

日 時 6月30日(日曜日) 10時30分~16時
場 所 那覇市若狭公民館 ホール(3階)・Zoomウェビナー
主 催 独立行政法人 国際交流基金(JF)


【お知らせ】

1. 尼崎市市民提案制度(6月28日まで)
兵庫県尼崎市では、市民や事業者からの自由な提案に基づく新たな事業の立ち上げや、市と協働で行うことによる効果的・効率的な事業の実施を通して地域課題の解決やまちの魅力向上につなげる「市民提案制度」展開しています。

5月1日から6月28日までの日程で今年度の提案募集が始まっています。詳しくは下記ウエブサイトをご参照ください。
2. 国際交流基金 地球市民賞(7月26日締め切り)
全国各地で国際文化交流活動を通じて、日本と海外の市民同士の結びつきや連携を深め、互いの知恵やアイディア、情報を交換し、ともに考える団体を応援します。どなたでも応募いただけます。

3. かめのり財団オンライン連続セミナー(全4回)
「高齢化・人口減少の加速化に備える持続可能な地域づくりと、国際交流・多文化共生のこれから」
第1回 2024年6月10日(月) 16:00-17:30
第2回 2024年6月17日(月) 16:00-17:30
第3回 2024年7月 1日(月) 16:00-17:30
第4回 2024年7月 5日(金) 16:00-17:30
場所:オンライン・各回定員90名
参加費:無料

各回のテーマと登壇者
第1回 高齢化「第2幕」と人口減少の推移をもとに、地域における今後の予測を立てるための基礎理解
 解説講義:川北 秀人 氏(IIHOE[人と組織と地球のための国際研究所])
第2回 都心部における新しい国際交流・多文化共生事例
 事例紹介:栗林 知絵子 氏(豊島子どもWAKUWAKUネットワーク)、
                      宮城 潤 氏(地域サポートわかさ)
第3回 地方都市における新しい国際交流・多文化共生事例
 事例紹介:菅原 渉 氏(菅原工業)、山口 ちえ 氏(東川日本語学校 多文化共生室
第4回 求められる支援の在り方
 事例紹介:矢野 花織 氏(北九州国際交流協会)、
                      新居 みどり 氏(国際活動市民中心)

申込方法:以下の申込フォームよりお申し込みくださいhttps://forms.gle/f9Yeit5sW2XNGw1P9

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